現在、日本国内には聴覚障害者として身体障害者手帳を交付されている人が約36万人います。
そして、耳が遠くなった高齢者など身体障害者手帳は所持していないものの、コミュニケーションに不自由を感じている人を含めると約600万人にものぼります。
このような聞こえに不自由があるために日常生活に不便を感じている人も必要な情報を得られることで活動の幅が大きく広がり、社会参加につながります。
我々、文字の都仙台では聴覚障害者への情報保障の一つである「パソコン要約筆記」を平成12年から行っています。
パソコン要約筆記は、話された内容を聞き取り、内容を要約し、パソコンに入力して文字で伝える同時通訳です。
我々はパソコン要約筆記による情報保障を通じて、聴覚障害者を含む全ての人たちが情報を共有できる環境を作り、聴覚障害者の社会参加の促進に寄与しています。
こうしたパソコン要約筆記に対するニーズは年々確実に増大している一方で、当県の場合、公的な費用で認められるパソコン要約筆記の派遣は条件が厳しく、依頼のほとんどがイベントの主催者または利用者負担となっている現状があります。
利用者側のかねてからの要望である「パソコン要約筆記をより身近に使いたい」という声に応え、2008年度には情報保障を無償で提供するための新たな事業にも着手し、一定の成果を上げました。
また近年、行政の福祉予算が大幅に削られており、今まで行政の責任で行われてきたパソコン要約筆記の担い手の育成や、派遣にかかる公的な負担も今後は削減の方向に向かうことが懸念されています。このようなことから、我々が利用者団体から求められる期待は今後より一層大きくなっていくと考えられます。
したがって、我々は以下の提言をします。
1)既存の事業を安定的・継続的に行いつつ、今まで以上に情報保障の質を高める。
2)行政への必要な提言を行うために、団体の社会的信用の向上および組織力を強化する。
3)利用者からの様々なご要望・ご期待に応えるための新たな事業展開を模索する。
これらの実現のために、NPO法人を設立したいと存じます。
平成21年11月